物質濃度規制

 

不快なにおいの原因となるおそれのある物質22項目を定め、それぞれに規制基準値を設定、規制していく方法です。

 

 

特定悪臭物質の種類と主要発生源  

敷地境界における大気の規制(第1号規制)  

気体排出口からの排出ガスの規制(第2号規制)

排出水の規制(第3号規制)

   
 

特定悪臭物質の種類と主要発生源

 
物質名 におい 主要発生源事業場
アンモニア
NH3
し尿のようなにおい
畜産農業、鶏糞乾燥場、複合肥料製造業、でん粉製造業、化製場、魚腸骨処理場、フェザー処理場、ごみ処理場、し尿処理場、下水処理場等
メチルメルカプタン
CH3SH
腐った玉ねぎのようなにおい
クラフトパルプ製造業、化製場、魚腸骨処理場、ごみ処理場、し尿処理場、下水処理場等
硫化水素
H2S
腐った卵のようなにおい
畜産農業、クラフトパルプ製造業、でん粉製造業、セロファン製造業、ビスコースレーヨン製造業、化製業、魚腸骨処理場、フェザー処理場、ごみ処理場、し尿処理場、下水処理場等
硫化メチル
(CH32S
腐ったキャベツのようなにおい
クラフトパルプ製造業、化製場、魚腸骨処理場、ごみ処理場、し尿処理場、下水処理場等
二硫化メチル
CH3SSCH3
腐ったキャベツのようなにおい
トリメチルアミン
(CH3)3N
腐った魚のようなにおい
畜産農業、複合肥料製造業、化製場、魚腸骨処理場、水産缶詰製造業等
アセトアルデヒド
CH3CHO
刺激的な青ぐさいにおい
アセトアルデヒド製造業、酢酸製造業、酢酸ビニル製造業、クロロプレン製造業、たばこ製造業、複合肥料製造業、魚腸骨処理場等
プロピオンアルデヒド
CH3CH2CHO
刺激的な甘酸っぱい焦げたにおい
塗装業、その他の金属製品製造業、自動車修理業、印刷業、魚腸骨処理場、油脂系食料品製造業、輸送用機械器具製造業等
ノルマルブチルアルデヒド
CH3(CH22CHO
刺激的な甘酸っぱい焦げたにおい
イソブチルアルデヒド
(CH32CHCHO

刺激的な甘酸っぱい焦げたにおい
ノルマルバレルアルデヒド
CH3
(CH2)3CHO
むせるような甘酸っぱい焦げたにおい
イソバレルアルデヒド
(CH3)2CHCH2CHO
むせるような甘酸っぱい焦げたにおい
イソブタノール
(CH3)2CHCH2OH
刺激的な発酵したにおい
塗装業、その他の金属製品製造業、自動車修理業、木工業、繊維製造業、その他の機械製造業、印刷業、輸送用機械器具製造業、鋳物製造業等
酢酸エチル
CH3COC2H5
刺激的なシンナーのようなにおい
メチルイソブチルケトン
CH3
COCH2(CH3)2
刺激的なシンナーのようなにおい
トルエン
C6
H5CH3
ガソリンのようなにおい
スチレン
C6H5CH=CH2
都市ガスのようなにおい
スチレン製造業、ポリスチレン製造業、ポリスチレン加工業、SBR製造業、FRP製品製造業、化粧合板製造業等
キシレン
C6H4(CH3)2
ガソリンのようなにおい
(トルエンに同じ)スチレン製造業、ポリスチレン製造業、ポリスチレン加工業、SBR製造業、FRP製造業、化粧合板製造業等
プロピオン酸
CH3CH2COOH
刺激的な酸っぱいにおい
脂肪酸製造業、染色業、畜産農業、化製場、でん粉製造業等
ノルマル酪酸
CH3
(CH2)2COOH
汗くさいにおい
畜産農業、化製場、魚腸骨処理場、鶏糞乾燥場、畜産食料品製造業、でんぷん製造業、し尿処理場、廃棄物処分場等
ノルマル吉草酸
(CH3)2CHCH2COOH
むれた靴下のようなにおい
イソ吉草酸
(CH3)2CHCH2COOH

むれた靴下のようなにおい
   
 

敷地境界における大気の規制(第1号規制)

都道府県知事が、その地域の自然的、社会的条件を考慮して必要に応じて、当該地域を区別し、特定悪臭物質の種類ごとに下表の範囲内で定めることになっています。

 
特定悪臭物質 (1)敷地境界の基準(単位 体積ppm) (2)気体排出口の規制 (3)排出水中の規制
主として工業用に供されている地域その他悪臭に対する順応がみられる地域
左記以外の地域
アンモニア
2〜5 1〜2  
メチルメルカプタン
0.004〜0.01 0.002〜0.004  
硫化水素
0.06〜0.2 0.02〜0.06
硫化メチル
0.05〜0.2 0.01〜0.05  
二硫化メチル
0.03〜0.1 0.009〜0.03  
トリメチルアミン
0.02〜0.07 0.005〜0.02  
アセトアルデヒド
0.1〜0.5 0.05〜0.1    
プロピオンアルデヒド
0.1〜0.5 0.05〜0.1  
ノルマルブチルアルデヒド
0.03〜0.08 0.009〜0.03  
イソブチルアルデヒド
0.07〜0.2 0.02〜0.07  
ノルマルバレルアルデヒド
0.02〜0.05 0.009〜0.02  
イソバレルアルデヒド
0.006〜0.01 0.003〜0.006  
イソブタノール
4〜20 0.9〜4  
酢酸エチル
7〜20 3〜7  
メチルイソブチルケトン
3〜6 1〜3  
トルエン
30〜60 10〜30  
スチレン
0.8〜2 0.4〜0.8    
キシレン
2〜5 1〜2  
プロピオン酸
0.07〜0.2 0.03〜0.07    
ノルマル酪酸
0.002〜0.006 0.001〜0.002    
ノルマル吉草酸
0.002〜0.004 0.0009〜0.002    
イソ吉草酸
0.004〜0.1 0.001〜0.004    
   
 

気体排出口からの排出ガスの規制(第2号規制)

気体排出口からの排出ガスは特定悪臭物質、22物質の内、13物質のみが規制を受けることになります。(敷地境界における規制値の表中第4欄に○印のある物質)

規制基準は、特定悪臭物質の種類ごとに次の式により、流量を算出したものとなります。

q=0.108×He2×Cm

q:流量(単位・・・Nm3/h)規制基準値

He:排出口の高さの補正値(単位・・・m)有効煙突高さ

Cm:敷地境界における規制基準値(単位・・・体積ppm) なお、Heが5m未満となる場合については、この式を適用しない。

   
 

排出水の規制(第3号規制)

排出水は特定悪臭物質22物質の内、4物質のみが規制を受けることになります。(敷地境界における規制値の表中第5欄に○印ある物質)

規制基準は特定悪臭物質の種類ごとに、次の式により、排出水中の濃度を算出したものとなります。

CLm=K×Cm

CLm:排出水中の悪臭物質濃度の許容濃度(単位・・・mg/e)

K:下表に掲げる特定悪臭物質及び当該事業場から敷地外へ排出される排出水の量ごとに定められた値(単位・・・mg/e)

Cm:敷地境界における規制基準値(単位・・・体積ppm)

 
排出水量(m3/S) メチルメルカプタン 硫化水素 硫化メチル 二硫化メチル
Q≦0.001 16 5.6 32 63
0.001<Q≦0.1 3.4 1.2 6.9 14
0.1<Q 0.71 0.26 1.4 2.9
 

メチルメルカプタンについては、上式により算出した排出水中の濃度の値が1リットルにつき0.002ミリグラム未満の場合に係る排出水中の濃度の許容限度は、当分の間、1リットルにつき0.002ミリグラムとする。